で書かれて

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もちろんです。末端のほう、家庭内とか企業内とかで、小型装置をとりつけてひ
そかに非合法におこなわれている場合については、断言激光脫毛價錢できませんが……」
「末端で可能なら、あのコンピューター内部においても、可能は可能でしょう」
「困りますなあ、そんな理屈は……」
 部長は説明の言葉をさがそうと口をつぐんだ。その時、机の上の電話が鳴る。部
長はそれを取り、緊張した顔つきになった。短く答えるだけで、やがて受話器を戻
し、洋二に言う。
「ちょっと急用ができましたので失礼させていただきます。しかし、雑誌などに、
根拠のないことを臆測だけは迷惑します。その点はよろしく」
「わかっております。そんなことをしたら雑誌のほうも評判が落ちますから。では
、おじゃましました」
 洋二は点検部長室を出た。廊下にしばらくたたずんでいたが、部長はべつに出て
こなかった。急用ではなかったのだろうか。
 洋二は他の部課をまわった。苦情楊海成受付課とか、人事部。人事部では前任の点検部
長の名を聞いてみたりした。しかし、どこでも、手ごたえのある話はえられなかっ
た。うやむやな、要領をえない点があるようだ。
 彼の気のせいかもしれない。謎の問題点をとりかこむ壁のようなものが感じられ
てならなかった。壁があるとすれば、だれがこのような壁を作り、どのような力で
壁を保持しているのだろう。洋二は疑惑を深めた。と同時に、挑戦への闘志をかき
たてられるのだった。

 雑誌社へもどり、洋二は考えをまとめようとした。だが、なにもまとまらない。
とらえどころのない膜のような存在を感じているだけなのだ。
 椅子にかけ机にもたれ、目を閉じると、さっきの装置が浮かぶ。細い電線の、も
つれた網のような姿。カチリと音をたてて動くなにか。その他わけのわからない部
品のむれ。集合体。敵がいるとすれば、その電子部品のジャングルの奥にひそんで
いるのだ。
 闘志だけは高まるが、どこから手をつけていいか迷う。彼は退社時間がすぎたの
も気づかず、ぼんやりと机にむかいつづけだった。これは予想以上に大きな事件か
もしれぬ。自分ひとりの手にはおえそうもない。しろうとだけではだめなのだ。電
子関係にくわしい専門家を加えた特別取材班を編成し、社としてことに当たるべき
かもしれない。それによって、敵をジャングルから狩り立てるのだ。
 彼は決心し、その企画書を書きはじめた。夢想と思われて笑い飛ばされないよう
に書かねばならぬ。心のなかの炎を、どう表現したものだろう。意外とむずかしく
、筆はなかなか進まなかった。


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